気がつけばラミィは4体にかこまれていた

 

一歩近づけば他の3体が間合いをつめ、常にラミィと等間隔を保とうとしている

 

ならば動かなければ良いのだろうか?

 

否、そんなことをすれば4体が同時に間合いをつめてくるだけである

 

では、どうすればいいのか?

 

その結論は・・・

 

ダンッ!!

 

ラミィが一気に間合いをつめた

 

そのモンスターを遥かに越えるであろう速さによって

 

そして・・・

 

どごぉ!!

 

目の前の一体を思いっきり蹴飛ばした

 

2Mはありそうなほどの巨体が5Mほど吹き飛ぶ

 

蹴った部位は胸部

 

骨はあるが内臓ごと破壊されている可能性は高かった

 

それと同時に残りの3体がラミィに向かってくる

 

しかしソレはただの直線的な動き

 

読めぬものではなかった

 

そして

 

 

次の瞬間・・・そのうちの一体は切り刻まれ、ただの肉塊と化していた

 

 

ラミィの指先から爪がのびていた

 

その硬く鋭き爪は獣人族のみが持つ特性

 

生まれながらにして高き身体能力を持つ獣人族の武器の一つである

 

ラミィは飛びかかってきた一体の下に潜り込み、それと同時にその爪で攻撃をくわえていたのだ

 

それも複数回である

 

たたんっ

 

後ろを振り返りつつ間合いを開け、そのモンスターの姿を視認し

 

ラミィは一言だけこぼした

 

「・・・うーん、グロいなぁ・・・」

 

自分でやっておいて随分な言いようである

 

 

 

 

 

 

こぽぽ・・・

 

クレイの前には2体の敵がいた

 

後ろは土の壁があり、下がる事はできない

 

そしてその二体に対しクレイは槍を持たぬ方の手に魔力をためていた

 

「「・・・!」」

 

2体のモンスターが同時に襲いかかってきた

 

しかしクレイに動揺はない

 

クレイは槍を片方に向け、もう片方に魔力の溜まった掌を向けた

 

そして・・・彼は一言だけつぶやいた

 

「貫け」

 

どどどどどどんっ!!

 

その手から多量の水の針が放たれた

 

至近距離から放たれたソレはモンスターに避けることを許さず

 

そしてもう一体は自分の動作に合わせて向けられる切っ先に動けなくなっていた

 

「すみませんね・・・僕も死にたくないんで」

 

彼はそう呟くと同時に掌に再度魔力を溜めはじめた

 

その残る一体を仕留めるために

 

 

 

 

 

セリアとフィリアの元には4体のモンスターが向かっていた

 

そう、向かって『いた』のだ・・・

 

しかし彼女等の前に対峙した、いや、『できた』モンスターは一体だけであった

 

一体は雷撃に焼かれ

 

一体は氷弾をぶつけられ

 

一体は水の針に撃ち抜かれていた

 

そして彼女は今・・・不必要とも言える量の魔力を掌にため、そして・・・

 

「さよなら」

 

バシュウゥゥゥゥゥ・・・

 

彼女は多量であり、それでいて巨大な風の刃を放ったのだった

 

 

 

 

エランは巻き込まれていた

 

彼は一匹のモンスターと対峙していた

 

だが自分の後方からやってきた雷撃をかわすと同時にそのモンスターはソレに巻き込まれていた

 

すると避けたところに氷弾とそれに吹き飛ばされたモンスターが飛んできた

 

彼はかわした方向に更に跳び、それら全てをかわした

 

それと同時に彼の鼻先を水の針がかすり、彼は冷や汗を流した

 

そして今

 

泣きたくなる数の風の刃が彼の所へ飛んできたのだった

 

「・・・おーい・・・」

 

蛇足だが、それはラミィとクレイが残りを無難にかたずけた時のことだったそうな

 

 

そして彼はPTで唯一怪我をした

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・で、おまえは俺を殺すつもりなのか?」

 

とっさに風の盾を作り、そして風の刃が放たれた距離が結構あったためにエランは体を切断されずにすんでいた

 

しかし、全身が傷だらけになっていることに変わりはなかったため、彼は今、3人がかり(効果が高い順にフィレア、セリア、クレイ)の回復魔法を受けていたのだが・・・

 

「いいえ」

 

「本当か?」

 

「ええ」

 

「嘘か?」

 

「ええ」

 

「・・・殺されたいのかおまえは」

 

「あらエラン、貴方ごときに私を殺せるとでも思ってるのかしら?」

 

なんだかぴりぴりし始めていた

 

「・・・今おまえが『俺の間合い』にいる事を忘れるなよ」

 

「私に苦手な間合いなんかありはしないわ

 

 あまり調子に乗ると死期を早めるわよ小虫さん」

 

というかお互いの剣を握る二人

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「あ、あの、喧嘩は・・・」

 

 

ガキィィィイイイ!!

 

起きた

 

 

「わ、わぁぁぁ!!?」

 

「ありゃりゃ、はじまっちゃったね」

 

互いの武器は短剣と刺突剣、されど互いの有効な攻撃などさせてはもらえない

 

刺突のためには腕をひかねばならず、腕をひけば懐に潜り込まれる

 

その状況で起こった戦いは真逆

 

短剣による刺突を刺突剣が払い、刺突剣による薙ぎ払いを短剣の剣先で受け止める

 

そのまま斬り付けようとすれば放たれるのは蹴り

 

打たれぬよう腕の軌道を変えればすでに間合いを開けられる

 

そんな感じの『喧嘩』がフィレア達の前で繰り広げられていた

 

「とめないでいいんですかね?」

 

クレイがラミィに問い掛けた

 

「んー、いいんじゃない?」

 

「な、何故ですかぁ!?」

 

「だって二人とも本気じゃないし?」

 

「え?」

 

「エランは双剣使ってないし、セリアは魔法使う気配もないでしょ?

 

それに怪我してでも攻撃いれようって気配もないし・・・じゃれあってるだけよこ、れぇ!!?」

 

ラミィに向かってエランのもう一本の短剣が飛んできた

 

ぱしぃっ!!

 

「いきなり投げてくんなぁ!!」

 

と言いつつ余裕で掴んだのはさすがだ

 

「な、流れ弾でしょうか?」

 

「や・・・気に食わなかったんでしょ私の言い草が」

 

「なるほど・・・」

 

それでも脇目もふらずに戦闘を続ける二人は大したものである

 

「どっちが勝つんでしょう?」

 

「んー、エランじゃない?」

 

「何故ですか?」

 

二人の喧嘩を見てラミィはつぶやく

 

「そりゃセリアは私等の十倍近く研鑚積んできたけど・・・」

 

その表情にこめられているのは『仕方がない』という想い

 

「(『天才』か・・・)」

 

それは長き研鑚に追いつける唯一の要素

 

「ラミィ?」

 

「え、ああ、まぁエランの間合いだし」

 

「はぁ・・・」

 

それはセリアにもできなかった、戦いの最中ラミィに攻撃を仕掛ける事もできたほどの『才』

 

「理不尽よねぇ・・・」

 

「はぁ・・・」

 

 

 

 

そして10分程経った頃、エランがセリアの剣を弾き飛ばし決着した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがけ

 

戦闘ばっかの第四話につき適当に設定などをー

 

 

 

各種族設定

 

  人間

100年程生きたらかなり長生き

全てにおいて才能にばらつきがあり近接戦闘の天才や魔法の天才が生まれることもある

だが純粋な筋力で獣人に勝ることはありえない

 

種族特性として同族だろうが他族だろうが結ばれる時は結ばれる

ただ一度でもエルフとの子を生めばその子供は獣人と、獣人との子を生めばエルフと結ばれることは決して許されない

もしその禁忌をやぶれば・・・

 

エルフ

人の十倍以上の寿命を持つが身体能力の成長も十分の一程度

しかし知識や魔力にそれは関係しないため人の十倍の期間研鑚をつめることになり、魔法に関しては当然秀でる事となる

ちなみにセリアの場合身体能力も地道に鍛えてきたため力は人並みだが技は他種族をはるかにこえる

 

種族特性として長い寿命にかまけて修行をさぼる奴がいるのもたしか

基本的に獣人族と仲が悪いが、生まれながらにして身体能力の高い獣人に対する嫉妬心なんじゃねぇか?というのがもっぱらの噂である

 

 

 

獣人

寿命は人と同程度、生まれながらにして身体能力が高いのに加え能力の成長も結構早い

だが知識の吸収がやや遅い感がいなめないのが欠点、まぁ精神面は人並みには成長するので生活には問題ない

ちなみにラミィは例にもれず知識量が少し足らない、しかし元々の能力にかまけず鍛え続けたので身体能力はもうエルフでは追いつけないところに

 

頭のいいエルフがむかつくとのこと

 

 

 

 

ついでに各キャラ能力バランス

 

エラン

力B 技A 速B 魔B 特記事項『才気』

 

クレイ

力B 技B 速B 魔B 特記事項なし

 

ラミィ

力A+技B 速A+魔C 特記事項『獣人』

 

セリア

力C 技A 速B 魔A+ 特記事項『エルフ』

 

フィレア

力E 技C 速C 魔A 特記事項『回復特化』