皇帝が学園へやってきてから十分後

 

ラミィ除く4人は教室で報告を待っていた・・・・

 

「ラミィ・・・大丈夫でしょうか」

 

不安そうな表情でつぶやくクレイ

 

その隣でもっと心配そうな顔をしているフィレア

 

そして・・・

 

「見つかるな」

 

「捕まるわね」

 

外道約二名自信満々

 

「そ、そんなぁ、きっと大丈夫ですよ!!」

 

「フィレア」

 

キッ、とセリアはフィレアに目を向けた

 

「は、はい、なんでしょう」

 

「フィレア・・・・失敗するからラミィ、トラブルを起こすからラミィ、物事を悪い方向へ持って行くからラミィなのよ?」

 

「ひゃう!?」

 

酷い言われようである

 

「じゃ、じゃあ2人はなんでラミィに行かせたんですか?」

 

クレイは尋ねる

 

「面白そうじゃないか」

 

「今度は何が起きるのか楽しみでしょう?」

 

「・・・巻き込まれるかもしれませんよ?」

 

「それもまた一興」

 

「どうにかなるわ」

 

中々ずぶとい二人であった

 

「あなた達は何故ラミィに行かせたの?」

 

セリアは2人に聞き返す

 

「それは・・・」

 

「し、信頼したからです!!」

 

多少焦って返答するフィレア

 

だがそれは失敗である

 

「愚行ね、ジノに求婚するのと同じぐらい愚かな行為だわ」

 

「っ!?」

 

「おい、それは言いすぎだろうが」

 

「そうです!いくらなんでもあんまりですよ!!」

 

「・・・そうね、ごめんなさい」

 

フィレアはもはや涙目だ

 

いったいどこまで嫌われているのか・・・・

 

セリアが自分の否を認めたあたりからも、かなり高いレベルであることは知れる

 

全男子生徒の宿敵、全女子生徒の天敵、それがサディスティックジノ

 

そして五分後・・・

 

『あー、Bクラスのエラン君、クレイ君、フィレア君、セリア君、至急学園長室へ来なさい』

 

見事に放送で呼び出された

 

「はい、巻き込まれました・・・と」

 

「気に食わないわね、何故私が最後に呼ばれたのかしら」

 

「そういう問題ですか・・・」

 

「うぅ・・・信じても無駄な事ってやっぱりあるんですね・・・」

 

そして彼らは学園長室へ向かった・・・

 

 

 

 

「やあ、来たか」

 

「ほぉ、君達が・・・」

 

学園長室ではソファーに学園長とおそらく皇帝であろう人物が向かいあって座っていた

 

扉の近くにはラミィの姿もある

 

他の人はいないようだ

 

「失礼しました皇帝陛下、尾行などという愚行を提案したあげく実行してしまった、そこの獣娘にどうぞ重い処分を与えてやってください」

 

「なぁ!?あ、あんたも賛成したじゃないのよぉ!!」

 

「記憶にないわ」

 

「嘘つかないでよ!!」

 

「もしそれが真実だったとしても私達の名前を軽々とばらしたあなたが先に裏切ったということになるということを忘れない事ね」

 

「うぐっ!?し、仕方ないじゃない!!」

 

「仕方ない?そんな言葉では済まされない事がこの世にはいくらでもあるということがわかっていないようね」

 

「あー・・・君達君達」

 

学園長と皇帝はいきなり無視されていた

 

「騒がしくしてすみません学園長様、それで私達4人にはどのような罰がくだされるのでしょうか?」

 

「仲間はずれ!?」

 

どこまでも騒がしい

 

ちなみに他3人というと・・・

 

エランは表情を変えずその光景を眺め

 

クレイは苦笑し

 

フィレアはオロオロしていた

 

「あー、それなんだが・・・」

 

「はい」

 

「皇帝陛下」

 

学園長が皇帝の方を向く

 

「あ、ああ・・・」

 

皇帝はこのテンションに押されていた

 

だがすぐに気をとりなおし真面目な顔になった

 

「・・・実は君達に依頼したい事があるんだ」

 

「了解」

 

「承りました」

 

「早いよ2人とも・・・」

 

「ええっと・・・どのようなご用件でしょうか?」

 

 

「・・・学園長、こいつらはどうにかならんのか?(ぼそぼそ)」

 

「すみませんが矯正には数年はかかりそうな気がします(ぼそぼそ)」

 

「・・・そうか(ぼそっ)」

 

 

「・・・実は北方にある王国、シアノの女王に手紙を届けてもらいたいのだ」

 

「何故この学園に?」

 

「ああ・・・国の連中にまかせると宰相あたりに中身を確かめられてしまうのでな」

 

「わかりました」

 

「ラブレターとか?」

 

ラミィ爆弾発言

 

「・・・いきなり何を言い出すんですかラミィ」

 

「し、失礼ですよ」

 

「えー、王さまから女王さまへ見られちゃまずい手紙って言うからさー」

 

恐ろしく無礼だった

 

というか正確には王ではない

 

「・・・これがその手紙だ」

 

皇帝はラミィを無視し、手紙を5人の前に差し出した

 

それをセリアは受け取り・・・

 

「・・・どれぐらい距離あった?」

 

相談を始めた

 

「わからん、何にせよ長旅になるな」

 

「何をもって行きます?」

 

「いや、そのまえに・・・セリア」

 

「ええ」

 

セリアは学園長の方へ向き直る

 

「学園長」

 

「なんだね?」

 

「旅の期間の間の出席日数、成績などはどうなるのでしょう?」

 

やたら現実的な質問だった

 

「・・・ああ、無事届けられたら一年分の単位はやろう」

 

「失敗すれば?」

 

「留年」

 

「断れば?」

 

「・・・留年だ、皇帝陛下を尾行しようとした罰だということを忘れるな」

 

尾行する前に捕まったのかラミィ

 

「わかりました、路銀はいくらほどいただけるのでしょう?」

 

「・・・いくら欲しい?」

 

「20万G(ガネー)」

 

「・・・わかった」

 

そういって学園長は金庫へと近づいていった

 

それと同時に皇帝陛下が口を開ける

 

「それでは・・・頼んでいいんだな?」

 

「ええ、この手紙の内容が例えなんであろうと届けさせていただきます」

 

「・・・開けるなよ?」

 

「わかっております」

 

「へ?駄目なの?」

 

「アレは無視してください皇帝陛下」

 

「・・・わかった、それではまかせたぞ」

 

皇帝陛下はやたら不安な様子だった

 

「各自いくら持つ?」

 

どうやら20万の振り分けのことらしい

 

「フィリア6万、私が5万、あなたとクレイが4万でラミィが1万でいきましょう」

 

「その心は?」

 

「どこまで大事に持っていられるか」

 

「なんでそんなに少ないの私!?」

 

「1万も十分大金よ、あなたにこれ以上持たせると無駄遣いするか落とすかしそうな気がするのよ」

 

「うっ・・・」

 

大事に使おうとする様子を見て少し驚いている皇帝と学園長の姿があるのは気にしてはならない

 

「話を戻すが何をもって行く?」

 

「テントはいりますかね?」

 

「重くてかさばるわ、5人用ともなるとそれなりの大きさがあるし」

 

「寝袋は?」

 

「いや、それだと咄嗟に動くことができない」

 

「じゃあ毛布ですね?」

 

「だな」

 

「お菓子は?」

 

「うるさい」

 

「黙れ」

 

「うわ、ひどっ!?」

 

「調理器具は?」

 

「切る洗うは風魔法と水魔法でなんとかなるとして・・・鍋が欲しいところね」

 

「あと五人分の皿も中に入れておこう」

 

「私が持ってきましょうか?」

 

「頼んだ」

 

「水筒は?」

 

「各自持参」

 

こうして計画は着々とたてられ・・・

 

「・・・・・・なんでここで相談するんだ、君達は」

 

振り返ると学園長が金を持って立っていた

 

「親に何か言われないうちに今夜出ますから」

 

「・・・早いね・・・しかしわざわざ・・・」

 

「ここでは駄目ですか?」

 

「うむ・・・さすがにね、皇帝陛下もいらっしゃることだし」

 

「わかりました」

 

彼らは厄介だが素直だった

 

「ラミィの家にでも行きましょうか」

 

「何でうちなのよ・・・」

 

「周りに家ないからに決まってるだろうが」

 

「誰にも話を聞かれなくてもすむでしょう?」

 

どこに住んでいるんだラミィ

 

「父さんがいるよ?」

 

「ちょっと出かけてもらうことになるわね・・・」

 

 

「君達・・・もしかして誰にも聞かれないためにここで相談してたのかな?」

 

「「もちろんです」」

 

「まぁ、そんなところですね」

 

「はい」

 

「あ、そうだったんだ?」

 

一人だけ何も考えてないのはいつものことのようだ

 

一方皇帝達は・・・

 

「頼りになるのかならないのか・・・」

 

「色々な意味で規格外ですが・・・成績は優秀ですよ」

 

「そうか・・・」

 

微妙な思いにとらわれていた・・・

 

 

 

 

 

そしてその日の夜から彼らの長い旅が始まる・・・

 

彼らの人生を1年ほどかけて・・・

 

 

 

 

 

 

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あとがきゃーーーーー!!

 

 

よ・う・や・く、次回旅立ちます!!

 

さぁぁて、いったい何が待ち受けているのか何も待ち受けていないのか!?(話にならねぇ)

 

おたのしみにーーー!!