俺はその日、とてもとても退屈だった。

 

せまりくる妹の手から逃れ

 

更にせまってきそうな先輩はどこぞへ出かけているらしく

 

俺は一人外へ遊びに出たのだ

 

だが

 

すごく暇だった

 

ものすごく暇だった

 

そして俺は願った

 

何かいい感じの刺激ある出来事よ起これと

 

なんでもいい、なんなら危険なことでもいい、

 

・・・法にひっかかるようなことは勘弁いただきたいが。

 

俺はそんなとても中途半端な欲求でいっぱいになっていた。

 

そして俺は空を仰ぎ、信じてもいない神に願ったりもしたのだ。

 

そしたら鳥の糞がふってきた。

 

避けた。

 

石を投げた。

 

避けられた。

 

割れた。

 

逃げた。

 

 

 

そんなとある暑い、いや、むしろ熱い夏の日のことだった。

 

家の近くの海の砂浜を歩いていた時、

 

俺は妙な奴に出会ってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーメイドパニック!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・俺は今幻覚を見ている。

 

どんな幻覚って?

 

女の子が一人見えてるんだ。

 

それは幻覚じゃないだろうって?

 

ふっ、しかしこの女の子の下半身をよく見れば意味はわかるさ。

 

・・・まて、誰が変態だこのやろう。

 

まぁ見ろ、俺の視線の先をよく見るがいい、あそこだ。

 

 

ヒレがある。

 

巨大なヒレがある。

 

というか腰から下が魚だ。

 

 

まぁ全体的な像でいうと人魚とかそういうものを思い浮かべてくれたらいいだろう。

 

だが一般的に考えると人魚などいない。

 

だから俺はこう考えた。

 

俺は幻覚を見ている、と。

 

仮装だという仮定はこの際おいておこう、だとしたら余計怪しいと俺は思う。

 

ちなみに何故こうやって眺めてられるかというと、

 

眠ってやがるんだこの娘。

 

気絶?ふっ、こんなスピスピ言いながら気絶する奴などおるまい。

 

よって寝てるだけと俺は判断するね。

 

む?ということは・・・

 

 

幻聴まで聞こえてるじゃないか。

 

 

いかん、いかんな、よし、スピスピというのは気のせいだということにしよう。

 

俺は何も聞いていないさ。

 

「うにゃぁ・・・」

 

猫のような声を出してるんじゃない魚娘。

 

しまった、また幻聴を聞いてしまったらしい。

 

しかしここまで頻繁に聞こえるというのも妙だな。

 

そうか!わかった!俺は夢を見ているんだ!

 

というか普通の人は最初にそこに発想がいく気がしないでもないが、

 

それを考えるととても空しくなるのでやめておこうとおもう。

 

うむ、実に賢明なり俺。

 

さて、通常ならばここで頬をつねるところだろうが俺は一つの真実を知っている。

 

夢の中だろうが痛い時は痛い。

 

つーことで俺は決心した。

 

夢なら楽しんじまおう、うん。

 

ということで起こすことに決定。

 

よし・・・。

 

まず頬をつついてみよう。

 

何故とか聞くな。

 

 

ぷに

 

「うにゃ・・・」

 

ぷにぷに

 

「うにゃうにゃ・・・」

 

ぷにぷにぷにぷにぷにっぷに、ぷにっぷにぷに、ぷにぷにぷに

 

「うにゃうにゃうにゃうにゃうにゃっうにゃ、うにゃっうにゃうにゃ、うにゃうにゃうにゃ・・・」

 

 

いかん、おもしれぇ。

 

 

「うにぃ・・・」

 

むぅ、どうやら起きてしまったようだ。

 

・・・起こそうとしたんだよな俺?

 

「・・・・・・・・」

 

状況が理解できてないらしく魚娘は周りをきょろきょろと眺めている。

 

・・・と、どうやら近くから眺めてた俺と視線があった。

 

「よぉ」

 

「・・・・・・にゃぁぁぁああああああ!!?」

 

ざぱーん

 

・・・海に落ちましたよこの娘。

 

「だ、誰ですか!?新手のお魚さんですか!?」

 

「マテヤコラ」

 

失礼にも程がある

 

「も、もしかして人間さん!!?」

 

「最初にそこに思い当たれ馬鹿者」

 

「誰が馬や鹿ですか!私は家畜じゃありません!」

 

「黙れナマモノ」

 

うるさい、この娘はとてもうるさい

 

「せめていきものと呼んでください!!」

 

「でだ、ナマ、お前はなんだ?」

 

「ナマってなんですかぁぁぁああああ!!」

 

「おまえはなんだときいとるんだこっちゃ」

 

「うぅ・・・人間に見つかってしまいました・・・

 

というか何故私はこんなところにいるんでしょう?

 

確かお昼寝をしてて・・・もしかして流されたんでしょうか?

 

・・・はうぅ・・・こ、こうなったら・・・」

 

無視されてますか?

 

「おーい・・・」

 

「あの!!」

 

「お、おぉ?」

 

なんかしらんがいきなり叫ばれた

 

「わ、私と結婚してください!!」

 

投 石

 

「うきゃあ!?」

 

「わけがわからんわぁ!!」

 

「でもそうしてくれないと困るんですぅぅぅ!!」

 

「しるかぁぁぁあああ!!」

 

なんだ、なんなんだこいつは。

 

俺は触れてはいけないものに触れたのか?

 

アレか、パンドラか?

 

パンドラって何人だっけか

 

ええい、んなことはどうでもいい。

 

大体あれは開けるだしな。

 

いやいやいやそれもどうでもいい。

 

「・・・混乱なさってるようでー」

 

「貴様が原因じゃあ!!」

 

「にゃー!?石は投げないでぇぇぇ!!」

 

どぽーんどぽーんどぽーん・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・で、だ」

 

「は、はいぃ・・・」

 

腰に手をおき、もう片方の手で頭を抱え、背中を岩につけてもたれかかった姿勢で俺は冷静になろうとしていた。

 

「なんでいきなり結婚?why?」

 

もうこいつがなんだとかそういうのよりそっちが問題である

 

「ほわいってなんでしょう?」

 

「・・・・・・日本語訳すると何故、だ」

 

「おぉー」

 

・・・・・・

 

「えーっと英語という奴でしょうか?」

 

「い い か ら は よ は な せ」

 

「あ、はい、わかりましたー」

 

・・・ふぅ、ようやくか

 

「えーっとあのですねー、私は見た目どおり人魚なわけですが人魚って結構な人数いるんですよー、というかそれはもう全世界に色々な人魚さんがー、全然発見例がないのは私達が普段いる国はえーっと例えて言うと結界みたいなものにつつまれてましてー、人間が知覚できなくなってるんですねー、ですから私達みたいな人魚とかに連れていってもらわないと入れないんですー、まー、言ってみればあれですよ、浦島太郎さん、彼がなんで入れたかというと亀さんがいたからなんですねー、まぁ亀さんに案内する知能があったのかは別ですけどー、そういえばあの太郎さんはあのあとどうなったんでしょうねー、おじいさんから鳥になって戻っていったとかいうお話もありますけどー、そういえば似たような話というと」

 

「ストーーーーーーーーーーーーップ!!」

 

長いわぁ!!

 

「にゃ!?」

 

「何故結婚せにゃならんのかを話せ、まず、それだけでいい、太郎はどうでもいい、わかったな?」

 

「あ、はい、わかりましたー」

 

同じ返事をする娘ここにあり、本当に理解しているのかどうか

 

「えーっと簡単に言いますと掟なのです」

 

「掟?」

 

「はい、なんでも『人間に姿を見られたならばそれが男だった場合はその男を夫とし、国にひきずりこめ』だかなんだかー」

 

「荒々しい掟だなおい・・・。で、その掟を破ればどうなる?」

 

「シケイですねー」

 

「死!?」

 

「いえ、私的な刑と書いて私刑です」

 

リンチですか?

 

「あと追加としての罰として『生涯独身』っていう罰がかせられるんです、酷いですよね?」

 

なんて微妙な。

 

「だからそうなるぐらいならあなたと結婚しようかと」

 

「俺を巻き込むな」

 

「そ、そこをなんとか!」

 

「ええいうるさい!つーか俺と結婚するほうがマシだという根拠がわからんわ!!」

 

というか何でこんな会話するはめになったのやら。

 

・・・日曜なんだからもう少しゆっくり寝ておけばよかったか。

 

「いい人っぽいですし?」

 

こんなこと言い出しましたよこのお嬢さんは。

 

「あのな、俺はお前に石投げたんだぞ?」

 

「それもそうですが今話を聞いてくれてるじゃないですか、普通は無視して逃げますよ多分」

 

・・・そういう基準か。

 

「わかった、俺はいい人だということにしておこう」

 

「はいー」

 

「ということで話は聞いたのでさようなら」

 

グッバイ、もう二度と会うことはないと願いたい。

 

「わぁぁ!!?そ、そこをなんとか!!」

 

「うるさい!俺にメリットがないだろうが!!」

 

「う、うちにくればタイやヒラメの塩焼きが食べれますよ!!」

 

「舞い踊りじゃないんかい」

 

「彼等にそんな知能はありません!」

 

いや、そりゃそうだろうけどね。

 

もっと面白みのあるものはないのか

 

「え、えーっとそれにかわいい奥さんも出来ますよ!!」

 

何を自分でいっとるんだこの娘は・・・。

 

「かわいいだぁ・・・・?」

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・はっ!?

 

い、いかん、早く否定せねば!!

 

「・・・・・・駄目でしょうか?」

 

「いや、まぁ、まて、ちょっとまて」

 

落ち着け、まずは落ち着け。

 

「はいー、結婚してくれるなら何年でも待ちますよー」

 

あん?

 

「執行猶予ありなん?」

 

「はい」

 

「その間に逃げられるってか俺がもうここの海にこなかったらどうする気だ?」

 

「あ、いえいえ、そうじゃなくて待つといいますか」

 

 

「猶予中はその人の家に住み込むことになってます」

 

「まてやこらぁ!!」

 

「にゃあ!?」

 

「できるわけないだろうがんなこと!!」

        ・ ・ ・

いや、まぁ『俺の家』なら可能といえば可能なのだが。

 

・・・危険分子がいるからある意味不可能だが

 

「えー、でもそうしないと猶予なくなるんですよー」

 

「つーかその下半身でどうやってくる気だおまえは・・・」

 

「あ、そういえば言ってませんでしたがー」

 

「なんだよ」

 

「人魚って大半の人が人化できるんですよー」

 

人魚姫の立場は一体・・・。

 

「・・・つーことはずっと人間として暮らすことも可能ってことか?」

 

「いえいえー、定期的に帰らないと衰弱してしまいますし戸籍ももちろんありませんので厳しいですねー」

 

なるほどねぇ・・・。

 

人間の姿にはなれる・・・か

 

なら・・・

 

「ということで家にすませてもらってもよろしいでしょうか?あ、家の人との交渉は私が頑張りますので!!」

 

「却下」

 

「にゃあ!!?なんでですか!?そういう話の流れでもなかったじゃないですか!?何故急に迷いうせますか!?」

 

「めんどい」

 

「にゃあ・・・駄目人間さんがいるよぅ・・・」

 

すみません、ぶっちゃけ条件反射で却下しました。

 

「だいたいな・・・生涯独身はわかるがそれを『ついで』っていう私刑とやらは何をされるんだ?」

 

「・・・・・・ウミウシを顔につけられてる人がいました。アレの精神的ダメージははかりしれません」

 

それはむごい。

 

「おねがいしますぅ、おねがいしますぅ、おねがいしますぅぅぅ」

 

・・・涙目で見上げるな魚娘。

 

「・・・ひっく・・・」

 

・・・本泣き入りましたか。

 

・・・あーもう、しょうがねぇな畜生・・・

 

「・・・わかった、執行猶予ぐらい設けてやろう」

 

「・・・・・・え?」

 

「・・・ありがたく思っとけ」

 

「え、あ・・・」

 

魚娘の目にはまだ涙が浮かんでいるがそれでも表情が笑顔へと変わっていく

 

「ありがとうございます!!」

 

全く・・・いい笑顔だなぁ、おい・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでおまえ名前とかあんの?」

 

「・・・そういえばお互い名乗ってませんでしたねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あとがき 〜という名の作者の間〜

 

 

人魚という題材をリクされてここまでシリアスさを消し去る奴はそうはいないと思われる(滅

 

あい、この小説はここの副管理人であらせられるhaduki様のリクにより作られたものだったりします

 

そして書いてて面白そうなのと一話にまとめれる気もしなかったので連載状態に

 

まー、多分きまぐれ更新になるけどねコレは( ̄▽ ̄;

 

ちなみにこの後の展開

 

hadukiさんの更なる希望により

 

 

ラブコメとなります(核爆

 

 

とはいっても俺に書けるかどうかは謎なんですがやるだけはやってみようかと思ったり(ぉ

 

それではこのへんで・・・