AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する
 

 

……頭に血が上っていた。

 

奴の言い分がどうしても許せず、気付くと全力で斬りかかっていた。

 

……マズイ。

 

これで奴が受けるか避けるをしなければ殺してしまうかもしれない。

 

なんとか寸止めは出来ないか……?

 

……だが、考えるまでもなかった。

 

……刀身は既に止まっていたのだから。

 

(……な……に?)

 

何が起こったのか理解出来なかった……否、したくなかった。

 

自分の全力の斬り込みがたった……短刀一本で止められているなどと。

 

……私はほぼ動いていない。

 

奴は私より速く近付き短刀を刀身に当て、動きを止めたのだ。

 

(う、うごかない……)

 

そんな馬鹿な話は無い。

 

日本刀を短刀で止めるなど、余程腕力に差がなければ通常は不可能だ。

 

……なら、可能性は二つ。

 

奴の腕力が尋常じゃ無いか……奴自身が『通常』の人間では無いか。

 

……何を今更、能力者である以上は通常足りえない。

 

だが……何故、こうも簡単に……

 

「止めておけ」

 

……感情を感じない凍りついたような声を出してくる。

 

「今のお前達で俺に敵うのは玖央くらいだ」

 

……今、こいつは何と言った?

 

玖央? あのなんの歴史も技も無い能力を使うチンピラならば敵うと?

 

……私はあのチンピラ以下だと言うのかっ!

 

「……誤解が無いよう付け足すが……俺やお前達には大して実力の差など無い。単純な相性の問題だ」

 

……まるで私の心を見透かしたように告げてくる。

 

……そして奴は短刀をしまうと踵を返し去って行く。

 

……私が背後から斬りかかっても問題無いとでも言いたげに。

 

「……天翔……斑っ!」

 

奴が去った後の呟きはまるで呪詛のように苛立ちが篭っていた。

 

………………

…………

……

 

「なんなんだっ! アイツはっ!」

 

……いきなり怒られた。

 

「お前……人、呼び出しておいてそれはねえだろう」

 

言い方はアレだけど玖央の言う事も尤もだと思う。

 

美影さんは昼休みに私――結衣――と玖央を屋上に呼び出したのだ。

 

それで第一声がアレである。

 

「斑だ! 天翔 斑っ! お前達二人を呼び出して『アイツ』なんてそれくらいしか無いだろう!?」

 

まあ、確かに。真菜ちゃんをアイツ呼ばわりはしないだろうな。

 

「んで? 斑がどったのよ?」

 

……玖央……昨日、私にゲームを壊されたのにまた新しいのを持ってる……

 

「……昨日の巡回の後だ……」

 

………………

…………

……

 

「で、美影さんの話を要約すると……斑が手伝ってくれてたんだ」

 

「なんでそうなるっ!?」

 

「だって……私達が倒し忘れてた『魔』を倒してくれたんでしょ?」

 

「それは結果論だ! 大体奴は自分の身可愛さでのみ行動しているのだぞ!」

 

「それが人間のあるべき姿なんじゃね?」

 

玖央は聞いていないようで聞いている典型だ。

 

大体ゲームしながら受け答え出来てるあたり凄いと思う。

 

「我々は普通の人間ではなく能力……」

 

「変わんねえよ」

 

美影さんの言葉を遮るように言う。

 

「能力者……つったって人間だ。死ぬのは怖ぇだろうし、したくねえ事はしたくねえ」

 

「なっ……奴はお前のような新入りではなく先祖代々の……」

 

「はやらねえぜ。そーいうの」

 

言ってスタスタと歩いて行ってしまう。

 

「おい! 話は……」

 

「ようはアイツをだ。説得すりゃー良いんだろ?」

 

と、不意に振り返り。

 

「なあ、アイツ。今日はメガネ掛けてたか?」

 

「え? ……あ、うん。してたよ」

 

「そっか、うし。なら簡単だ」

 

そしてさっさと下りていってしまった。

 

………………

…………

……

 

「説得してきたぞー」

 

「「マジでっ!?」」

 

玖央が下りていってから約五分。

 

残された二人で気まずい沈黙をしていたら玖央が戻って来た……斑を連れて。

 

「どどど、どうやって説得したのよ!?」

 

「ん? いやなに。『護国陣手伝わないとがっこー中にお前が二股掛けてるっつー噂を流す』って言ったら」

 

「二股っ!? 誰と誰にっ!」

 

そんなの許せないっ!

 

「落ち着けって……嘘だよ。デマ、デマ」

 

「デマ……」

 

そ、そうだよね……あの斑がまさか……そりゃあ無いよねえ?

 

「……因みに、誰と誰を引き合いに出すつもりだったんだ?」

 

と、これは美影さん。

 

「そりゃーやっぱ。ここに都合良いのが二人も……」

 

「……結衣。刀を取ってくるまでそいつを押さえていてくれ」

 

「ちょちょちょっ! ちょい待ち。 軽いジョークだろうが!?」

 

「お前の場合は冗談と本気を混同しているから信用できん」

 

「ま、まあ、別にしなくて良いんだし……な?」

 

「……因みに、俺が断った場合はどうなったんだ?」

 

と、今まで黙っていた斑が質問。

 

「そりゃあ、モチロンがっこー中に噂を……」

 

スタスタスタ……

 

「ノーッ! 物理的な暴力は止せーっ!」

 

………………

…………

……

 

「えーっ! じゃあ今日は斑先輩がいらっしゃるんですかーっ!?」

 

と、目の前で真菜ちゃんが目いっぱい驚いている。

 

……やっぱり真菜ちゃんも斑が好きなんだろうか?

 

……だとしたらかなりの強敵だ。

 

「うん。玖央が説得してくれたから……巡回に付き合ってはくれるって」

 

「うわ〜……どどど、どうしましょう!? それならもっと可愛い服にすれば……」

 

……うーん、やっぱりか。

 

まあ、斑は格好良いし、私達は幼馴染だし……当然なんだけど……

 

「ダメだよ真菜ちゃん。巡回なんだから動き易くないと」

 

「あ……は、はい。すいません」

 

すぐにしゅんとする真菜ちゃん……ううう、可愛いよ〜

 

「抱きつくなよ」

 

うっ、……後ろを見れば玖央がニヤニヤ笑いながら見ている。

 

「いつの間に……って、アレ? ゲームは?」

 

「ああ、昨日どこぞの天然暴力に破壊されたからな。暫くは持ってこねえ」

 

……天然暴力……

 

「ま、お陰でヒマなんだよな〜……携帯持ってねえし」

 

ふあ〜あ、と向こうを向いて欠伸をしている。

 

……そりゃ。

 

ガツッ!

 

「ぐをっ!? ハリーの尻尾が!?」

 

無論、彼の頭に当たったのは彗星ではない。

 

「……何をやってるんだ?」

 

って……

 

「「斑(っ!)」先輩っ!」

 

私の後ろにいつの間にやら黒い革のジャケットを着た斑が。

 

か、かっこいい……って違う違うっ!

 

「いつからそこに居たの?」

 

「玖央と同時だ。そいつの影だったから見えなかったのだろう」

 

……にしてもせめて気配くらいは漂わせてほしい。

 

「あの……斑先輩っ! お久しぶりですっ!」

 

「ああ、二ヶ月と十三日振りか」

 

「か、数えてたんですか!?」

 

「それくらいの数なら普通に覚えられる」

 

いや、普通は無理だと思うよ、斑。

 

「ともかくっ! 期待してるからね斑っ!」

 

斑の首にしがみ付く。

 

「……まあ、善処する。だから退け」

 

振り解かれる……せめて動揺くらいしてくれないと……こっちだって恥ずかしいのに。

 

ふと見れば真菜ちゃんが『むっ』とした顔をしている。

 

うーん……彼女には悪いけどこればっかりは譲れない。

 

 

……けど、後に私はこれくらい譲れば良かったと後悔する事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

美影「あとがきだ」

 

ゼロ「はい」

 

美影「む? 攻撃してこないのか?」

 

ゼロ「女性には手を上げません……後が怖いので」

 

美影「情けないな」

 

ゼロ「どうとでも」

 

美影「……ところでどうも伝奇的な所ばかりが進んで恋愛要素が少ないと思うのだが」

 

ゼロ「……貴女の口から恋愛という言葉が出るとは……」

 

美影「私とて恋の一つくらいはしたい」

 

ゼロ「(どうもここのキャラ達はくせが強いなあ)さいですか、ですがそれだと相手は斑になりますが……」

 

美影「む……まあ、暫くはこのままでいこう」

 

 

 

新堂 美影(しんどう みかげ)

 

武器 日本刀(無銘)

 

能力 氣刀

 

外見 黒髪のポニーテール。

    背は高めで胸は小さめ。

    凛々しい美人。

 

性格 自他共に厳しく理想高い。

    特に趣味も無く毎日稽古に励んでいるくらい真面目。

    女としての自分が嫌い……という事は無く、むしろ誇りにしている。

 

一言「私と付き合いたくば自らを誇れる男になれ」